人前で話すのが大の苦手です。大学1年のとき、「あると役立ちそう」と教職過程を選択する友人たちを横目に、人前で話す職業を考えられなかった私は、即決で教職を履修しませんでした。
そんな私は、逆立ちしたってスティーブ・ジョブズのような、観客を惹きこみながらテンポよく、飽きさせることなく必要十分な内容を伝えるプレゼンができるようになるとは思えません。なので、地道にコツコツと基本スキルを向上させたいなと日々願い研鑽してます。そんな中で役に立った本を紹介します。
プレゼンテーションのノウハウ・ドゥハウ
プレゼンテーションに必要な3つの要素を体系立て、「プレゼンの4P」などのフレームワークや図表を用いながら、分かりやすく解説しています。プレゼンテーションに必要な3要素は次の3つです。
- プレゼンス(常日頃から、その人が持つ人間的魅力)
- シナリオ・スキル(事前準備できる資料の作り方)
- デリバリー・スキル(本番で必要になる話し方)
このどれが欠けても、人を感動させるプレゼンテーションはできないといいます。執筆は「人の主体性を挽き出す」を企業理念に掲げ、人材育成を手がけるHRインスティテュートさん。プレゼンテーションは人の主体性=プレゼンスが原点だとし、どんなに上手なデリバリー・スキルを持っていても、プレゼンスがダメならば人を感動させられないダメなプレゼンテーションとなると説きます。
人間的な魅力をどう磨いていくか、具体的に意識していくポイントなどを解説している点が、数多くあるプレゼンテーションの本とは一線を画していて、お薦めです。そのほか、基本である資料の作り方や、デリバリー・スキルを向上させる練習方法なども明示しており、体系的にプレゼンテーションを学べる一冊です。まずはこの一冊から読んでみてはいかがでしょうか。
図解表現のルール
「誰が見ても直観的にすぐに分かる資料を作れたら……」。この悩みを一刀両断してくれるのが本書です。1990年代からニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルでグラフィックを担当した図解表現のプロが、その技術を余すところなく紹介しています。
図表の作成手順から、数字の表し方、使用するフォントや、色の選び方などの基本的な内容にとどまらず、「どういったケースで棒グラフを使うべきか?」という用途にあったグラフの選び方も解説します。「線グラフをつくるときは、折れ線は4つ以下にして、かつ実践だけを使うように」「補足説明は線グラフに直接つける」などの、目からウロコが落ちるアドバイスが満載です。
左ページにNG例、右ページにOK例という形でレイアウトされており、読者は実例を見て、納得しながら読み進められます。資料をうまく作れないとお悩みの方、ぜひこの本を読んで図とグラフを使いこなしましょう!
本日は、お日柄もよく
3冊目のこちらの本、プレゼンテーションの本ではありません。小説です。主人公はOLの二ノ宮こと葉。彼女が想いをよせていた幼なじみの結婚式に最悪の気分で出席している……ところから、物語がはじまります(いえいえ、手を止めないで読み進めてください)。
こと葉が結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会ったことにより、彼女の運命は一転します。スピーチライターとしての道を歩みはじめていくのです。
この本で注目したいのは「スピーチの内容」です。あなたがプレゼンテーションをする目的はなんですか? 相手に対してなんらかのメッセージを届けて、自社の商品やサービスを選んでもらうといった行動を促すことではないでしょうか。その際に必要なのは、“相手の心を動かすこと”だと思います。
「どんな内容を伝えれば相手を感動させることができるのか?」そのヒントになるのが本書です。登場するスピーチはどれも聞く者の心をうつ内容となっています。読者は主人公のこと葉とともに、どうすれば相手に届くスピーチ原稿を作れるかを学ぶことができます。相手に届けるスピーチの内容を磨きたい方にお薦めです。