ガリガリ君のビジネスモデルを考えてみた

世界一わかりやすいビジネスモデル入門(1)

『まず、のび太を探そう!』で紹介されている、「9セル」を使って、大学3年生が世の中を斬ってみるという連載の第1回。やっと専門分野(経営学)を学びだしたばかりの学生が、ああでもないこうでもないと奮闘しながら、ビジネスモデルの描き方・作り方を学んでいきます。

女子大生がビジネスモデルに挑戦!

この連載は、『まず、のび太を探そう!』で紹介されている、「9セル」を使って、大学3年生が世の中を斬ってみるという企画です。

この連載で対象にするのは、20代になったばかりの学生が興味をもっているプロダクトやサービス。やっと専門分野(経営学)を学びだしたばかりの学生が、ああでもないこうでもないと奮闘しながら、ビジネスモデルの描き方・作り方を学んでいきます。

メンバーは『のび太』の著者、川上昌直先生のゼミの3年生。2014年度は全員女子という珍しいメンバー構成です。世の中のトレンドにも鋭い女性の感覚で、ビジネスモデルのトレーニングをします。

起業を考えている方、新規事業ナントカ室にお勤めの方はもちろんですが、「新しいビジネスをつくらないと!」という問題意識は、すべてのビジネスパーソンに芽生えているはず。

ぜひこの連載で学生たちといっしょに、ビジネスモデルの勘所をつかんでいきましょう!

各回の構成

前編(プレゼン編)では、学生たちのテーマ選びとプレゼンテーションをお見せし、後編(やりなおし編)では、川上センセイからのアドバイスをもとに、学生たちがやりなおし、そして新しい着眼点を身につけて、ビジネスモデルを創りあげていきます。

本日の担当=平戸梨奈(ニックネーム:りな)

ではさっそく、最初のケーススタディに入りましょう。
今回の担当は平戸梨奈さん。アイスキャンディーの「ガリガリ君」が好きなりなさんは、自分が好きなプロダクトをチョイスしました。

自分の好きなものをテーマに選ぶと、自然と熱が入ります。学習効果も高いですね。知らない海外の企業、身近に感じられない製品を対象にすると、とたんにしらけてしまいますよね。ガリガリ君が好きだからガリガリ君で、で全然オッケーなんです。

まずは情報収集から

はじめに行いたいのが、情報収集。製品の概要や歴史などを調べます。
本格的な手順では、製品の担当者やユーザーなどへの取材(インタビュー)なども行いますが、まずは、企業のウェブサイトや新聞・雑誌の記事から情報を集めてみましょう。ガリガリ君もHPが充実しているので、そのあたりの情報からきれいにまとめていきます。

なんと30年以上もロングセラーを続ける商品だったんですね。親子二代でファンというケースもでているのだとか。

そもそも、ガリガリ君は、赤城しぐれを大ヒットさせた赤城乳業が、「子供が遊びながら片手で食べられるかき氷」として提案したものなんですね。

赤城乳業HP(http://www.akagi.com/brand/garigarikun/profile.html)

つまり、背後には「遊びに夢中な子どもが簡単に喉の潤いとお腹を満たせないか?」という用事があって、価値提案が完成しているのです。

相手は子供ですから、わかりやすいネーミングがいい。そこで、「ガリガリ」という食べるときの擬音に親しみやすい「君」をつけたとのこと。

そして、それを、代替ソリューションとしてのアイスキャンディーなどよりも、安めに設定し、子供たちのために50円程度で送り出したんですね。なるほど。

これをまとめていくと、こんな感じにまとまります。

世の中に散らばっている情報を集め、丹念に調べていくと、それだけでもガリガリ君のストーリーが見えてきます。

本当に大学3年生でもこれくらいはできてしまいます。ちゃんとした情報ソースにあたれば、断片的な情報もしっかり整理できます。それが「整理棚としてのビジネスモデル」の学習効果なんです。

顧客価値提案の実態、ここまではOK。ほぼ問題なしです。
問題はここから。ガリガリ君はどうやって儲けているのか?!

いよいよ話は利益に移ります。資料はこちら。

ん?これだけ?

顧客価値提案の資料は、しっかり深堀りされていましたが、ずいぶんシンプルですね。この内容だと、ガリガリ君ならではのポイントが含まれないので「ガリガリ君はマーケティングだけで勝っているプロダクトだ」ということになってしまいます。

ガリガリ君は本当に、アイスキャンディーだけで儲けているのか? 疑問がのこります。

このあとも、彼女らしいしっかりとしたプレゼンをしてくれました。プロセス部分についても、「ガリガリ君」を作って売るまでのフローを分析してくれました。最終的にりなさんは、このような9セルを作りました。

確かに埋まっています。そして、それっぽくもみえます。
しかし!やはり、2行目の利益でひっかかってしまいます。

トップバッターということで、ほぼ指導もなく、9セルの勉強だけでここまできたのは、たいしたものです。しかしここで、彼女によって明らかにされた問題は、実は多くのビジネスパーソンにも共通していることなのです。本当によくあるます。 『まずのび』のヤマザキ君もひっかかってしまうくらい。

それを、いきなりトップバッターがそれを示してくれたことに、大きな意義があります。その問題とはいったいなにか?

続きは次回、解決編にて!


関連&オススメ書籍

新作Infographicsのご案内、名著の要約(メール限定!)などを週に1回のニュースレターでお届けします。2013年10月スタート。

サイト概要、運営者情報、個人情報のお取り扱いについてはこちら