ガリガリ君の「利益」の取り方を考えてみた

世界一わかりやすいビジネスモデル入門(2)

この連載は、『まず、のび太を探そう!』で紹介されている、「9セル」を使って、大学3年生が世の中を斬ってみるという企画です。

女子大生がビジネスモデルに挑戦!

前回の記事で、大好きな「ガリガリ君」のビジネスモデルを描いてみたりなさん。
顧客価値提案に関しては、ばっちりなプレゼンでした。しかし、9セルの2行目、「利益」については、これでいいのだろうか?という疑問が残りました。



カワカミが指導したのは一言。

「ガリガリ君ってのは、プロダクトなのか? 最近、周りを見渡してみて、ガリガリ君をほかでもみないか?」 そこでりなさんは気づきました。

商品以外でも課金している!と。

つまり「プロダクト(製品)」だけではなく、もはや「プロジェクト」なんじゃないかと。そこで、視点を変えながら、もう一度情報にあたります。何度もやり直しをしながら、ガリガリ君のビジネスモデルを更新していきます。

そこででてきた利益設計の図がこちら。

そうです。ガリガリ君は現在、アイス以外にも、入浴剤やそのほかさまざまなキャラクターにも進出しています。詳しくはプロセスのWHOで紹介するとして、「アイス以外にも進出している」これは大きなポイントです。

ガリガリ君自体も、大量生産によってマージンがかなり得られるはずです。また、普通のガリガリ君よりも高い「ガリガリ君リッチ」などもあります。

しかし、これらは原価もかかり、大量生産ができるようになってはじめて利益が得られるものです。

それよりも興味深いのが、ライセンス料。これは、ガリガリ君の使用対価として、100%のマージンが得られるドル箱課金、つまりキャッシュ・マシーンなのです。当初はそうでなかったはずですが、ある程度ガリガリ君が認知を得てからは、キャラクタービジネスとしてガリガリ君をブランディングしているのです。


つまり、アイスから入って消臭剤や入浴剤、それにシャツなど、「クールさ」をイメージするプロダクトを面展開することで、ガリガリ君ワールドが生まれており、これが、ビジネスモデルの面白さをみせてくれるわけです。

もはや単なるプロダクトではなく、他社をまきこんだ「ガリガリ君ワールド」の価値提案を実現する、「プロジェクト」となっているのです。

りなさんが最初に示したガリガリ君の9セルは、おそらく、「当初の」赤城乳業が示したものでしょう。しかし、現在のガリガリ君は、もっと面白い価値提案と、プロダクトに収まりきらないビジネスモデルとなっています。

利幅の大きなライセンス料は、ガリガリ君をはじめとする赤城乳業の新たなプロダクトの原資となって、自己充足と拡大をつづけていくことになります。それを9セルで表現するなら、こうなるわけです。

いかがでしょうか。

今回のポイントは、課金ポイントをどうやってとらえるかによって、適正なビジネスの単位が変わってくるということです。

実はこれは、いいビジネスモデルを考えるときのポイントであり、なおかつ、多くの会社のウィークポイントでもあります。それを指摘してくれた「ガリガリ君」という題材に感謝です。

りなさん、おつかれさまでした。


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