ビール市場が好調です。猛暑やアベノミクスの影響もあってか、毎年縮小傾向にあったお中元のビールの売上が、13年度は16年ぶりにプラスに転じました。内訳を見てみると、エビスやプレミアムモルツといった比較的高価なプレミアムビールが特に大きく売上を伸ばしています。
また、ノンアルコールビール市場の拡大も大きな要因となりました。市場をリードするキリン フリーは09年に発売するやいなや爆発的なヒット。その年のヒット商品番付でもトップに食い込み、現在も好調を維持しています。
プレミアムビールの好調は、酒類の低価格化に悩むビール各社にとって明るい材料です。サントリーでは、プレミアムモルツの好調によって、2010年からビール事業が46年ぶりに黒字に転換しました。また、ビール市場のシェアも3位に上がったそうです。「夏こそ。最高にプレミアム」「金曜はプレモルの日」という印象的なフレーズやCMを目にした方も多いのではないでしょうか。
プレミアムモルツのキャンペーン指揮を執る宣伝部長の和田氏は、ライフスタイル型のメッセージを世の中に発信することが、サントリーのDNAと語っています。サントリーの宣伝部といえば、芥川賞作家の開高健、直木賞作家の山口瞳も在籍していたという伝統ある部署(下で紹介している「やってみなはれ みとくんなはれ」はその両名がサントリーの社史を小説として書いたものです)。職人芸ともいえる、短いながらも心を打つコピーを次々と送り出しています。
まだまだビールの美味しい暑い日が続きます。酒のツマミや話のタネに、次の書籍で各社の戦略に思いを馳せるのもおつなものかもしれません。