9月26日、パナソニックは個人向けスマートフォン事業から撤退することを発表しました。フィーチャーフォンや企業向けのスマフォ事業は継続する意向ですが、個人向けスマフォは6月に発売されたドコモの「ELUGA P」が同社最後のモデルとなります。パナソニックは2期連続で連結最終損益が7000億円を超える赤字を出しており、今回の決断からは、黒字化を目指して採算重視路線への舵取りに取り組んでいる様子が伺えます。
経営の神様と呼ばれた松下幸之助の存在もあり、パナソニックの企業本は同規模の会社と比べてもその数は段違いです。業績が好調だった2008年頃までは、経営のお手本とすべき強い日本企業として取り上げられることの多かった同社ですが、赤字化する前後から、経営危機やその再編にクローズアップした書籍や記事が増えてきます。
そのひとつ、『パナソニック・ショック』は、20年以上に渡りパナソニックの取材を続けているノンフィクション作家の立石泰則氏によるものです。立石氏は1988年の『復讐する神話―松下幸之助の昭和史』で、パナソニックの底力と柔軟性について論じているだけに、赤字経営に陥ってしまった同社に対する複雑な思いは人一倍のはずです。
業績好調な頃と現在のパナソニック、書籍から2つの時代を比べて経営判断について考察してみると、仕事に活かせる新たな気付きが見つかるかもしれません。