9月21日、プロ野球ペナントレースで巨人がセ・リーグ優勝を果たしました。3年ぶり34度目のセ・リーグ制覇、原監督は通算6度目のVとなります。
すっかり名将としての風格が備わってきた原監督ですが、1980年にドラフト1位で入団して以来、退団する95年までを巨人一本で過ごしました。現役引退後は解説者を経て、巨人の監督に就任。一度は周囲との軋轢から退任しながらも、再度監督として戻ってきた巨人一筋の叩き上げです。
ここでは、現場からスタートし、組織のトップを務めるまでに至った偉大なリーダーの本を紹介します。
名将のチーム作りを学ぶ『原点―勝ち続ける組織作り』
2009年の日本一とWBC優勝という、2つの偉業を成し遂げたタイミングで書かれた原監督の自著です。「自分で考え、決める力」「父から学んだ力」「人をひきつける力」「失敗から学ぶ力」「活かす力」「育てる力」の6つのテーマについて、あくまで自身の野球論に焦点を当て語っています。本書の中で「言葉の使い方にしても、自分が感じたことの表現方法にしても、それを明快かつ的確に伝えることは非常に大きな仕事になる」と述べているように、非常にわかりやすい言葉で書かれているので、普段ビジネス書を読まない方にもおすすめです。
アルバイトから社長へ 『吉野家 安部修仁 逆境の経営学』
吉野家ホールディングス前社長である安部修仁氏は、店舗のアルバイトとして吉野家に入社、そこから正社員、取締役を経て、43歳で社長まで上り詰めた人物です。本部長時代に倒産、社長時代にBSE、デフレによる価格競争と何度も危機に晒されてきた同社ですが、安倍氏がどんな考えで経営判断を下してきたかが語られます。現場で培った知識と経験が危機を乗り越えるヒントになったというのは、安倍氏が語ると非常に説得力があります。なお、本書は、著者の3年に渡る取材によって書かれたものですが、安倍氏は「現役のうちは本業に専念したい」と自ら筆をとることは固辞したそうです。
生涯現役 本田宗一郎の教え『俺の考え』
日本を代表する叩き上げ社長といえば、この人は外せません。小さな町工場としてのスタートしたホンダを、一大で「世界のホンダ」まで引きあげた本田宗一郎氏です。社長になったあともツナギ姿で現場を訪れ、油にまみれながら従業員を叱咤激励していたエピソードは有名です。『俺の考え』は本多宗一郎氏自らが、仕事の哲学や経営者としてのポリシーを濃縮してエッセイとしてまとめたものになります。無骨ながら魂に響く言葉が詰まっています。
最近現場を離れた仕事が増えてきたな~という方、また、実務の経験をマネジメントに活かしたい方は一度手にとってみてはいかがでしょうか。