シェールガスとは、従来のガス田ではない場所(頁岩=シェール)から生産される天然ガスであり、新しい天然ガス資源として重要視されるようになっています。これまでも存在は知られていたのですが、2000年代に入りアメリカで安全で安いコストで採掘する技術が開発されたことで、現在アメリカは天然ガスの生産量でロシアを抜き、世界一となりました。また、同じくシェールから生産される原油をシェールオイルと呼びます。すでに日本は、2017年よりシェールガスを液化し、LNG(液化天然ガス)として輸入することが決まっていますが、通常は天然ガスを輸入するとコストが高くなります。しかし、仮に今のアメリカの指標価格で輸入できるなら、さまざまなコストを見込んでも、現状の天然ガスの輸入価格よりも安く輸入できることになり、注目を集めているのです。
メタンハイドレードは、天然ガスの主成分であるメタンと水が結合した氷状の物質で、燃やした際に出る二酸化炭素が石炭・石油の約半分であることから、「エコ」という観点から注目を集めています。その一方でエネルギー量は高く、シェールガスの2倍以上になるとのこと。そして、何よりも注目を集める理由は、このメタンハイドレードが日本近海に大量に眠っており、その量は日本の天然ガス消費量の100年分とも言われています。現在はまだ本格的な開発は行われていませんが、実用化が進めば、日本経済に与えるインパクトは大きいと言えるでしょう。
これらの新たなエネルギー源をさくっと知るための書籍を集めてみましたが、中でも『希望の現場 メタンハイドレード』はちょっと異色の1作です。メタンハイドレードの魚群探知機を使った探査方法の特許を持つ学者の著者と、ジャーナリストの夫との共作で、既得特権などを含んだ日本のエネルギー開発に関しての問題を浮き彫りにしつつ、日本再生の起爆剤になりうる可能性を説いたものです。