本の顔つき「装丁」を探る

サンデル先生とポケミスの意外な接点

早川書房から刊行されている「ハヤカワ・ミステリ(通称ポケミス)」シリーズとマイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』は、同じ出版社以外にも接点があります。それは、本の外側をデザインする人である「装丁家」が同じ水戸部功氏だということ。最近書店でよく目にする、水戸部功氏が装丁を手がけた本をあつめてみました。

水戸部氏が装丁を手がけたビジネス書として、まず思い出すのは『20代で人生の年収は9割決まる』です。著者はビジネス書系のメルマガ「ビジネスブックマラソン」を手がける、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役の土井英司氏。本書では、35歳までに人生の手がかりを得るには、20代のうちに「仕込み」を終えておかねばならないので、30歳までの年齢ごとに何をどう仕込めばよいのか、具体的かつ実践的に紹介しています。文字だけというシンプルな装丁により、書名がストレートに目に入ってくるような1冊です。

東日本大震災から11カ月後の2012年2月に発売されたのが『人をたすけるすんごい仕組み』です。早稲田大学大学院(MBA)専任講師を務める著者の西條剛央氏が、東日本大震災後の現地の状況を見て、自らが体系化した「構造構成主義」の理論を用い、プロジェクト「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げた過が記されています。書名の「すんごい」という口語が印象に残りますがふんわりとすることなく、右上と左下の余白によって、全体がキュっと引き締まっているという感じを受けました。

最後は「婚活」という言葉を生み、婚活ブームの火付け役となった著者の山田・白河コンビによる最新作です。婚活のブーム後に、はたして結婚は増えたのか、少子化は改善されたのかを考察し、現在の婚活の実情を語ります。5年前に発売された、前著『「婚活」時代』の装丁も水戸部氏が担当されていましたが、本作の方がより「婚活」の文字がくっきり出ているように見え、婚活そのものの厳しさを物語っているように感じました。

水戸部氏はビジネス書以外にもさまざまなフィールドで活躍されていますが、ビジネス書に限って言えば、活字を大胆に使った装丁が多いように思います。実は本サイトでは、すでに水戸部氏が装丁を手がけた本を何度か紹介しています。気になった方はぜひ探してみてください。


関連&オススメ書籍

新作Infographicsのご案内、名著の要約(メール限定!)などを週に1回のニュースレターでお届けします。2013年10月スタート。

サイト概要、運営者情報、個人情報のお取り扱いについてはこちら