輸出入の知識、小学生で止まっていませんか?

貿易赤字のニュースが詳しくわかる3冊

経産省によると、今年度上半期の貿易赤字が過去最大を記録したそうです。毎週・毎月のように流れる貿易関連のニュースですが、実務で関わっていないと、「ふ~ん」で流してしまいがち。私たちの暮らしに与える影響までなかなか考える機会はありません。ここでは、貿易について勉強し直せる本を紹介します。

財務省は10月21日、今年度上半期(4月-9月)の貿易収支が4兆9892億円の輸入超過になったことを発表しました。自動車や化学製品などの輸出が好調で輸出額は5半期ぶりに増加したものの、それ以上に輸入額が大きく増え、データ比較可能な1979年以降、過去最大の貿易赤字額です。赤字の要因としては、前年度同期に比べて20%以上の大幅な円安になったこと、原発の停止により原油などの燃料の輸入が増えていることなどが挙げられます。

貿易は、小学校5年生の社会科で必修分野となっているので、用語の意味や仕組みについて、何となく覚えている、という方も多いかと思います。ですが、実務で関わっていないと改めて勉強しなおす機会もないため、大人になっても当時の知識のまま……という方も、かなりいらっしゃるのではないでしょうか。円安やTPPなど、私たちを取り巻く輸出入のしくみが大きく動こうとしている今、貿易について改めて学べる本をご紹介します。

改訂版 絵でみる貿易のしくみ

貿易の全体像をつかむのに最適な本です。イラストがふんだんに使われ、初学者にもわかりやすい内容ですが、貿易実務検定C級にも対応しているので、かなり本格的。港、船、空港のしくみなど、パラパラ見ているだけでもためになります。外国為替や保険など、お金にまつわる部分もカバーしています。

貿易ビジネスの基本と常識

上でご紹介した『絵でみる貿易のしくみ』が貿易の「しくみ」の全体像がつかめる入門書なら、本書は貿易の「仕事」を学べる入門書という位置づけになるでしょう。中堅商社に入社した渡辺くんの視点で、物語仕立てで書かれているので、頭に入ってきやすいのが特徴です。折しもTahoo!ショッピングが無料化し、だれでもネットにお店を持てる時代がやってきています。この本を読んで貿易の仕事の足がかりにするのもいいかもしれません。

ジェトロ貿易ハンドブック〈2013〉

JETRO(ジェトロ)は、正式名称を日本貿易振興機構といい、日本企業の海外展開を支援する独立行政法人です。その調査力をもって、アジア諸国の経済本や白書系もたくさん出版しています。この本は上2冊と比べると実務よりの本ですが、その正確さと情報の新しさはピカイチ。データが豊富なので、貿易に興味をもった方や自分から色々調べ物をしたいという方にオススメです。用語の解説といった基本事項から、アジア各都市の投資コスト比較まで幅広い知識が身につきます。

貿易について詳しくなると、今まで聞き流していた経済ニュースが理解できたり、「円安が進むと貿易赤字が拡大しやすいのはなぜ?」といった疑問にも答えが見つかります。いっしょにテレビを見ていたお子さんから飛んできた鋭い質問にも、即座に答えられるようになるかもしれません。


関連&オススメ書籍

新作Infographicsのご案内、名著の要約(メール限定!)などを週に1回のニュースレターでお届けします。2013年10月スタート。

サイト概要、運営者情報、個人情報のお取り扱いについてはこちら