新しい一歩を踏み出すときに読み返したい本たち

ノンフィクションお薦めの3冊

仕事のほか夜には大学院にも通い、忙しすぎてサザエさんシンドロームにかかる暇もない毎日の中で立て続けに読んだ本2冊が、状況は違えど壮絶な現場を記録した本でした。以前、読んだ本といっしょに合計3冊、紹介します。

壮絶な記録を残しているノンフィクション3冊を紹介します。どれも、読んでいるときに大きな気づきをくれる、とてもいい本です。

「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」

 東日本大震災による津波の被害を被った日本製紙の石巻工場が、復活するまでのドキュメントです。2011年3月11日の当日の様子からはじまり、大震災の発生、津波による被害、翌日からはじまる被災地としての苦悩・混乱、復興への道のりをノンフィクションライターである著者がまとめています。
 当初は誰もが無理だと思った“半年復興”という目標を、「無理でもなんでも、とにかくやるんだ」と掲げて、なみなみならぬ想いで工場を復活させた、現場の方々の気迫を感じました。

「借金の底なし沼で知った お金の味」

 こちらは、カリスマ行政書士として有名な金森重樹氏による著作。名前が似ている気がするな……と思ってググってみたら、ビンゴでした。FAX-DMという言葉を作って一大ブームを起こした金森氏はその頃、25歳のときにつくった借金の返済の真っ最中だったといいます。
 初めて借金した金額は1000万円。年利12%。25歳フリーター。利息だけで10万円を払わないといけないなか、定収入はなし。先物取引で当てて、そのお金で返済すればいいとそそのかされて、借金地獄が始まります。雪だるま式に先物取引を続け、気づけば借金5400万円。
 本書は延滞利息24%で1億2000万の借金を背負った金森氏がどうやって返済を遂げていくのか、その記録です。どういった感覚に陥り借金をしてしまい、そこから気付き、返済することへの執念に気持ちが変化するまでのありのままの記録です。

「大西洋漂流76日間」

 1982年2月4日深夜、嵐の大西洋上で、著者のスティーヴン・キャラハンが乗っていた小型ヨットが沈没。救命イカダに逃れるも、そこにあった現実は、小さな非常用救命セットひとつと、洋々と眼前に横たわる大西洋。手製のモリで魚を獲り、頼りない蒸留器で飲み水を確保する生活がはじまります。そして、遭難者の90%が3日以内に死んでしまうといわれる中、76日目に奇跡の生還を果たします。
 人間の生きることへの執念を感じた一冊です。連絡をする手段もなく、助けがくる保証もない中で、自分の精神を正常に保つ著者の強さを感じられます。極限の状態に居続けると人間はどうなるのか。そういったことも刻銘に記録に残しています。

 紹介した3冊、いずれも簡単に「壮絶な」ってくくりでまとめてはいけないような、そういった強さを持った本です。年度が変わって新しいことが始まったり、自分で何かを始めたり、想像もしなかったことに巻き込まれた時に、こういった先人たちが残した記録を読んでおくと、何かの役に立つかもしれません。


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