現役市長が語る「公務員」という仕事

夕張、横浜、千葉-話題の市長が書いた本

公務員は大学生の就職先として未だに根強い人気を誇ります。やはり「安定性」がその理由のようですが、市長の志に触れ、仕事のやりがいについて考えてみるのもいいかもしれません。話題となっている夕張市、横浜市、千葉市の3市長が書いた本を紹介します。

アベノミクスによる景気回復が叫ばれていますが、大卒の就職先として、公務員は依然高い人気を誇っています。成美堂出版から刊行された『最新業界地図 2014年版』では、巻頭特集として「公務員業界地図」を組み、有力自治体ごとの人口や事業所の数、平均年収などを掲載しています。安定性を追求するならば、自治体ごとの財政力や発展性も重視しなければならない時代なのかもしれません。

市役所をひとつの企業として捉えるならば、その長は市長です。彼らの市政への志や仕事について知っておくと、公務員の仕事の本質が見えてきます。ここでは話題の市長が書いた本をご紹介します。

やらなきゃゼロ!―財政破綻した夕張を元気にする全国最年少市長の挑戦

鈴木直道氏は現31歳、2年前に夕張市市長に就任した最年少市長です。彼は生まれも育ちも埼玉県。18歳から都の職員として働いてきましたが、2008年に夕張に派遣されたことで市とのつながりが生まれ、2011年には市長選に立候補し見事当選します。本書では、夕張との出会いと立候補を決意した経緯、財政破綻した市の問題点とどのように立て直していきたいかという思いが熱く綴られます。ぜひがんばってほしいと、知らず知らずのうちにページをめくる指に力が入ります。

共感する力 ~カリスマ経営者が横浜市長になってわかったこと~

8月に横浜市長として再選を果たした林文子氏は、BMW、ダイエー、日産自動車販売などで経営者として手腕を振るってきた女性です。経営者時代にはビジネス書も執筆しており、米フォーブス誌の「世界で最も影響力のある女性100人」に選ばれたこともあります。市長になってから書かれた本書では、民のトップから官のトップに変わって感じたこと、セールス時代に培った共感力を市政に生かし市役所に営業マインドを叩き込んだことなど、経営経験者ならではの視点で語られます。また、話題になった全国ワーストだった待機児童(保育所に入所できない児童)のゼロ化は、市長の職員教育あってこそ成功したことがわかります。この市長の下で働いてみたい!と思わせる一冊です。

公務員ってなんだ? ~最年少市長が見た地方行政の真実~

熊谷俊人氏は、現在こそ夕張の鈴木市長に最年少の座を譲りましたが、当選時31歳、今年35歳とまだまだ若い市長です。本書は、千葉市のケースに限らない、広義の「公務員の仕事」についても、統括する立場から見たあるべき姿を論じています。給料の貰いすぎ、“使えない”職員といった公務員批判にも真っ向から向き合って持論を展開していますので、公務員の仕事について、認識が新たになる部分が多くあるかもしれません。本書から熊谷市長は、深い知識もさることながら、説得力をもった意見をしっかり発信できる市長という印象を受けました。公務員を目指す方はもちろん、現在公務員として働いていらっしゃる方にも読んでいただきたい本です。


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